新サイトへと移転いたしました。

衆議院議員 岸本周平のサイトは、新サイトへと移転しました。お手数ですが、ブックマークの変更をお願いします。このページは20秒後に新サイトへと自動的に転送されます。

※転送されない場合は http://shuheikishimoto.jp をクリックしてお進みください。







 
バックナンバーを見る

■ 今そこにある危機と将来のリスク 2007/02/10

 前回の「政策の窓」では、格差問題は「貧困問題」であると指摘しました。繰り返しになりますが、現在、非正社員は雇用者の三人に一人で、約1600万人に達しています。その内、年収200万円未満の人は約8割の1300万人です。特に、女性の非正社員の9割が、年収200万円未満です。昔は、専業主婦のパートが主体でしたから、世帯で見ると問題が少なかったと言えます。今は、女性の単身世帯や母子家庭も急増していますから、深刻な問題を抱えている世帯もあります。

 もっとも、フリーターやニートのかなりの部分は親と同居しているために、この「貧困」問題が、表には表れにくくなっています。団塊の世代の親と同居している若者世代は年収200万円でも生活は豊かです。東京学芸大学の山田昌弘教授によれば、親の所得にパラサイト(寄生)している生活水準の高い女性は年収の低い男性とは結婚したくないと考えています。意識調査によって、若い女性のほとんどが「男性が家庭の収入確保に責任がある。」と考えていることが分かっています。年収の高い独身男性は少ないので、青森県で年収400万円以上の男性を希望する場合、倍率は1対20だそうです。東京都で年収600万円に置き換えると、倍率は1対11となります。このギャップがある以上、未婚率はなお高まり、少子化問題は解決しません。

 問題は、フリーターの子供の面倒を見ている親もいずれは死ぬということです。あるいは、要介護の状況になることもあります。ごく一部の資産家を除けば、今、年収200万円未満のフリーターの若者が、正社員になれないまま中高年になった時には、本当の意味の「貧困」に直面します。生活保護を受けるケースも増加するでしょう。実際、2005年における35〜44歳の中年パラサイトシングルの比率は12.6%となっており、20年前の3倍になっています。この世代は、団塊ジュニアと呼ばれる世代であり、まさに、団塊世代の彼らの親達は2007年から大量に退職していくのです。

 また、財務省の試算では、高校卒業後、すぐに就職し60歳まで勤務した男性の生涯賃金は約2億35百万円。一方で、60歳までフリーターを続けた場合の生涯賃金は約65百万円と1億7千万円も違ってきます。このような大きな格差は、現状目に見えるものではありません。今そこにある危機には見えないのです。しかし、将来的には大きなリスクを社会全体で抱えなければなりません。

 日本では、今のところ未組織の非正社員1600万人の利害や要望を代表する組織がありません。民主党が率先して彼らの意見をくみ上げることはもちろん重要です。しかし、最低賃金の引き上げや、非正社員の待遇改善を進めていくために、民間の組織をつくる、あるいはそのような動きを支援するような政策的措置が必要です。アメリカにはサービス従業員国際労働組合(SEIU)があります。アメリカ、カナダ、プエルトリコの180万人の労働者と12万人の退職者で構成されています。その大多数は女性で、アフリカ系アメリカ人は20数パーセントで、アメリカにおけるどの組合よりも多くの移民労働者を代表しています。日本では、必ずしも労働組合の形をとる必要はありません。NPO法人でもよいから、日本でも、非正社員の利益を代弁する運動を起していくべきです。


Copyright(C) 2005 Shuhei Kishimoto,All rights reserved
 

岸本周平 Official Website