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雇用における年齢差別禁止法 2006/03/15
前回の政策の窓でも書きましたが、自分の意志や努力ではどうしようもないことで、挑戦の機会を奪われたり、差別されたりしない社会をつくることが私の政治の目標です。年齢はその最たるものの一つです。米国では、年齢による差別を禁止する法律(「雇用における年齢差別禁止法」、1967年制定)があります。86年までは、この法律の適用対象は70歳まででしたが、その後年齢の上限も撤廃され、今は完全に年齢による雇用の差別が禁止されています。米国では定年制は元より違法ですし、求人の際に、「45歳以下の者」という条件をつけることも許されません。
今日3月15日、和歌浦のアートキューブで渡辺貞夫クインテットの演奏会があり、行ってきました。72歳のナベサダさんはすごく若々しくて、情熱的な演奏に場内は沸きました。芸術家には定年はありません。2月23日に、和歌山市民会館で米朝親子会もありました。81歳の桂米朝さんの落語は往年のキレはありませんでしたが、渋い話芸を楽しめました。お客さんが来てくれる間は、年齢は関係ないのです。
政治家もそうだと思います。立候補に定年制を設けるのはとても変です。選挙民が選んでくれている間は、年齢は関係ないはずです。自分たちを代表する資格や能力がないと、有権者が判断すれば、選挙の結果で答えが出ます。現役が有利で、新しい候補者が出にくいというなら、候補者を決める際に、予備選をやれば公平です。政治はパワーゲームですから、年齢ではなく、勝ち負けで決まるべきです。
2004年をピークに日本の人口が減少を始めました。政府の推計では、2025年には20〜64歳人口が6,691万人に対して、65歳以上の人口は3,473万人と約2対1の比率になります。足元の2000年の統計では同じく約4対1です。30年前の1975年では、この数字は約8対1でした。働く意欲と能力のある高齢者を差別するようなゆとりは日本には残されていないのです。 米国に続いて、フランスやベルギーも雇用年齢差別禁止法を制定しました。学会では、米国の雇用差別禁止法が高齢者の雇用を促進したという実証研究も行われています。
日本でも、雇用対策法において、「労働者の募集及び採用について、その年齢にかかわりなく均等な機会を与えるよう」事業主に努力義務が課されるようにはなってきています。さらに、一歩踏み込んで、雇用における年齢差別を禁止する法律をつくるべきだと私は考えます。不十分な点もあるものの、今ある男女雇用機会均等法は21年前の1985年に制定され、これまで改正が行われ、改善されてきたのです。少子高齢化の社会は既に現実のものとなりつつありますので、雇用における年齢差別禁止法の制定が急がれます。
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